● 1966年 キュナード・クイーンズ雑誌広告レプリカ 額入りジクレーアート
≪big name, CUNRAD QUEENS≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
作者名 :anonymous
製作年 :1966
額縁・マット : 木製カマボコ型=12mm、t=1.5mmx2枚ダブルマット、前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 410mm x 525mm
作品サイズ : 272mm x 407mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは282 x 417mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中のアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せはリトグラフやシルクスクリーンに比べ格段の保存性を持ち、数十年単位の鑑賞に耐えます。画像データに傷や劣化の補修、彩度などの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1966年 キュナード・クイーンズ雑誌広告
1966年、キュナードラインの米国向け、連作風4種類の雑誌1ページ全面広告のうち、本広告は最もユニークで魅力的です。この年、キュナードは「big」をキーワードに「big move」「big name」「big time」「big top」のタイトルの4種類の広告を打ちました。残念ながら「move」は世界最大の客船での船旅、「time」は世界最大の客船で過ごす時、「top」はそのものズバリ世界最大の客船のトップデッキを指し、3作は連作としては面白くとも感性的にはややタイトル看板倒れの感があります。ところが「big neme」のみはいささか趣が違っていて、重要なのは大きくトリムされた船首のものと思われる船銘板の「Q」の写真との組み合わせで、誰もが知るキュナード・クイーンズの生ける伝説を感覚的に想起させ、ビジュアルとしてのアイデアの良さは本作が飛び抜けています。下の本文冒頭には「Q for Queen Elizabeth, Q for Queen Mary」、米国向けの広告なので王家を持たないアメリカでは、ある種の憧れを演出することもできたでしょうし、客船黄金時代の頂点を極めた名声を思い起こさせる効果は充分です。1936年にキュナードの客船が初めて「Queen」を名乗った価値と重みが存分に活かされた名作広告です。
第一次二次の両大戦は航空機の発達をもたらしました。1945年のロッキード・コンステレーション以降、ダグラスDC-6、ボーイング377が相次いで大西洋横断の空路に就航、しかし船会社は手荷物を制限されて座席の狭い旅客機が、少なくとも大西洋航路の乗客を奪うことは無く、旅客機は客船の役割を補完して共存するものと考えていました。1946年10月にクイーンエリザベスが「客船」としての就役を果たしてキュナードが大西洋横断航路を再開、翌1947年7月にクイーンメリーが復帰、キュナード・クイーンズ・・・エリザベスとメリーの揃い踏みがなって、ついに悲願の二隻での週航を果たします。以後1952年頃までは莫大な収益を計上、クイーンズのツーリストクラスへの乗船は一年待ちだったと伝わります。ところがジェット爆撃機・B-47のノウハウが注ぎ込まれて誕生したボーイング707が1958年に就航、乗客189名で速度1000km/hの707は従来のプロペラ機のはぼ倍の能力を持ち、大西洋横断空路を現在と大差ない10時間前後で飛ぶことができました。それまで徐々に支持を広げていた旅客機の人気は707で一気に火がつくと共存の思惑は外れ、1958年には大西洋横断の客船・旅客機の乗客数が逆転、1960年になるとオフシーズン近くではクイーンズの乗客がたったの50名という航海も珍しくなかったといいます。1961年にはクイーンズの営業収支は赤字に転落、もうクイーンズに満席の乗客が戻ることがないのは誰の目にも明らかでした。1966年にはクイーンメリーも船齢30年、キュナードは大きな転換を迫られます。しかし、後継のQ3計画は(三隻目のクイーンの意)、クイーンズを軽量化して機関燃費も向上させるのみの75000トンの新船計画で、発注と政府補助金申請まで話は進むも需要変化への対応に乏しいと株主拒否によって1961年10月に中止、仕切り直しのQ4計画は船をパナマックス規模に抑えて実質2クラスのクルーズ兼用客船となり建造が開始されます。Q4計画は1968年のクリスマスシーズン就役を目指しますが資金繰りはどんどん悪化、ついに1967年5月8日、Q4(QE2・クイーンエリザベス2)の就役を待たずに1967年10月でのクイーンメリーの航海打ち切りを発表、あわせてクイーンエリザベスはQE2就役を見届けて1968年一杯での航海打ち切りと発表されます。(結果的にQE2は1968年11月に公試でタービン破損、翌1969年1月には機関故障で二度の船主受領拒否、処女航海も一旦キャンセルの憂き目を経て1969年5月の就役になり、「交代」の演出はなりませんでした)
・ 雑感
1966年は、こうして何とか雑誌広による集客は継続したものの、航海シーズン前にはクイーンエリザベスの後部デッキにプール、客室にはエアコンを新設してクルーズ仕様に改装した努力も空しく、結局クイーンズの二隻以外の持ち船を全て売却、QE2の就役を待つしか無いという結果になります。この1966年と翌1967年はキュナードの180年を越える歴史の中で、会社の存続が最も危うい時期でした。歴史に「もし」はありませんが、QE2がQ4ではなく、75000トンのQ3で建造されていたら、キュナードは存続せず身売りの憂き目を見たであろうといわれます。(いわゆる資本提携やオーナーシップの変更ではなく、完全な身売りです) その場合、英国政府の仲介が入る可能性が高く、そうなればBOACとBEAが合併してBA、四大鉄道が統合して英国国鉄になったようにP&Oによる救済合併などという話になったかもしれません (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Poster Ocean Liner INDEX
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納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】