● 1962年 客船フランス・就役見開き雑誌広告レプリカ 額入りジクレーアート
≪S.S. FRANCE, Maiden voyage of a new idea, French Line≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
作者名 :Bob Peak
製作年 :1962
額縁・マット : 木製カマボコ型=12mm、t=1.5mmx2枚ダブルマット、前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 525mm x 410mm
作品サイズ : 407mm x 272mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは417 x 282mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中のアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せはリトグラフやシルクスクリーンに比べ格段の保存性を持ち、数十年単位の鑑賞に耐えます。画像データに傷や劣化の補修、彩度などの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1962年 客船フランス・就役見開き雑誌広告
客船ノルマンディーを失ったフレンチラインがノルマンディー復活を強く意識して造った新しい旗艦、客船フランスの就役にあたって打った1962年の見開き雑誌広告です。この見開き広告のフォーマット、最初に見参したのは1935年の客船ノルマンディーの就役予告でしたが、フレンチラインが気に入ったものか、はたまた評判が良かったものか、あるいは伝説の名船にあやかる意味があったものか、フレンチライン旗艦就役の雑誌広告の定型になり、1949年にイル・ド・フランス、1950年にリベルテ、そして1962年には本広告フランスの各船で、まるで連作のように打たれました。客船フランス就航にあたり、フレンチラインが展開したプロモーションのイラストを担当したのはボブ・ピークでした。ボブ・ピークは1927年デンバー生まれ、ロサンゼルスのアートセンタースクールを経て、ハリウッドではあの映画マイフェアレディなど多数のプロモイラストを担当、タイム誌の表紙、コカコーラやマルボロのイラストワークなどアメリカを代表する商業イラストレーターでした。ボブ・ピークのイラストは雑誌広告で四種類とポスターに見ることができ、1960年から1962年の就航前後のプロモーションで大々的に使用されました。
キャッチコピー中の「New Idea」はいささか曖昧な物言いになっています。1962年2月8日に客船フランスが処女航海でニューヨークへ到着した際に特別なことが起きたわけではありません。フレンチラインの客船は独特な等級構成を持っていて、一等が多く、二等三等を足して一等と同数程度でした。二度の大戦と航空機時代の到来で状況は一変、中流階層がボリュームゾーンとなり、一等に乗船したであろう富裕層は最早中流の一部になっていました。「New Idea」のひとつは二等三等をツーリストクラスに統合して比率を高め、ふたつめは、そのツーリストクラスの船室を全室バス付にグレードアップしたという理解に落ち着きます。ノルマンディーが運航停止してから23年、時代は確実に変わりました。フレンチラインにしてみても、従前、大衆が持つフレンチライン一等主義のイメージを上手く変える必要に迫られ、どことなく曖昧なキャッチコピーを使わざるをえなかったのかもしれません。
フランス第五共和制成立下、ド・ゴール大統領のフランス栄光政策の旗印、G19計画によって客船フランスが誕生します。フランスの栄光を取り戻す・・・この船の考え方は、ド・ゴールの進水式での演説を借りれば「ノルマンディーを復活させてクイーンメリーからブルーリボンを取り戻す」というものでした。(1952年に客船ユナイテッドステーツが不倒の速度記録を打ち立てているので、クイーンメリーの速度を上回ってもブルーリボン客船にはなりませんが・・・) 処女航海は1962年2月3日ル・アーブルを出航、同8日にニューヨークへ到着、西航平均速度は31ノットでド・ゴールの演説通り、1938年にクイーンメリーがノルマンディーからブルーリボンを奪った時の速度を見事に上回りました。その後、全速航海では1マイル1トンもの燃料を消費するため、この広告に記されている2月13日ニューヨーク出帆の処女航海復航西航も含めて自船速度記録の31ノットを更新するような航海を一度もしませんでした。船容はノルマンディーをお手本にしたスマートな流線型で、2004年にクィーンメリー2が竣工するまで史上最長の客船でした。客船フランスの出来栄えはフランス人のプライドを大いに満足させるもので、人気は高く消席率も上々だったもののドゴール大統領の退任とオイルショックは、国家事業たる多額の運航補助金で成り立っていた客船フランスを直撃、補助金打ち切りが決まった1974年、客船フランスはわずか11年間の大西洋定期航路から退役します。しかし、2008年にはパリで大規模な客船フランスの回顧展が開催され、解体された今日にあってもその人気は衰えていません
・ 雑感
本広告本文冒頭で、自由の女神の前を客船フランスが通過する時、米仏という偉大な二国の友情と平和に彼女は敬意を払うだろう・・・客船フランスはフランスからアメリカへの平和の大使である、といった主旨の表現があります。かなりソフトながら、そこにはひとりフレンチラインのみならず、航空機に乗客を奪われている船会社のあせりのようなものを感じざるを得ません。この広告が打たれた前年、すでにキュナード・クイーンズでさえ営業赤字に転落、当然、ド・ゴールのG19計画は是非が問われるものだったかもしれません。しかしながら、不思議なものでその時にその国にしかできなかった仕事もあるもの、客船フランスもフランスの偉業だったことに意義を唱える向きはないところだと思います (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Poster Ocean Liner INDEX
※ポスター画像をクリックしていただくと詳細ページへ移動します
納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】