● 1885年 インマンラインのポスター 精密レプリカ額入りジクレーアート
≪INMAN LINE, ROYAL AND UNITED STATES MAIL STEAMERS, BETWEEN LIVERPOOL & NEW YORK≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
作者名 :anonymous
製作年 :1885
額縁・マット : 木製カマボコ型=12mm、t=1.5mmx2枚ダブルマット、前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 410mm x 525mm
作品サイズ : 272mm x 407mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは282 x 417mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中のアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せはリトグラフやシルクスクリーンに比べ格段の保存性を持ち、数十年単位の鑑賞に耐えます。画像データに傷や劣化の補修、彩度などの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1885年 インマンラインのポスター
19世紀の北大西洋横断航路で最盛期には北米移民の実に1/3以上を運び、一際輝きを放った船会社がありました。インマンラインです。18世紀から19世紀のアイルランドは繰り返し襲う不作と飢饉(ジャガイモ飢饉)になすすべもなく北米への大量の移民を生みます。帆船時代は船内の食糧は自前が原則、風任せの航海が長引くと餓死者を生むことも珍しくありませんでした。英国では、とある航海で100名を超える餓死者を出したことを契機に、法によって船会社による食事提供が義務付けられますが(現代の国際線航空機で機内食が多すぎるほど供されるのはこの名残です)、それでもなお一部の裕福な乗船客を除けば移民の船内扱いは人間的とは言えない厳しいものでした。この惨状を見かねて敬虔なクェーカー教徒リチャードソンと若き経営者ウィリアム・インマンは1850年、貧しいクェーカー教徒たちが安全・安心に渡航するための船社インマンラインを興します。1840年創業のキュナードとは対照的で、キュナードが外輪汽帆船の郵便輸送で船客は一等のみであったのに対し、インマンは最初から最新技術であったスクリュー汽帆船を造り、船客の大部分は三等(多くの資料はインマンの三等をスティアリッジと表現しますが、船倉に乗船客を押し込んだスティアリッジとインマンの三等は全く異なり、本稿では三等と表記します)でした。きちんとした食事を供しつつ三等乗客に特化、スクリュー船による航海日数短縮、石炭消費の減少、こうした営業努力によって北大西洋横断の三等運賃がを8ギニー程度だったものを4~6ギニーまで下げることに成功、結果として前述の通り北米移民の1/3以上を運ぶ船会社へと瞬く間に成長しました。価格破壊はインマンの手段でも目的でもなく、貧しい移民たちへの社会的使命を果たすことがインマンのモチベーションでした。世界初の旅行代理店であるトーマス・クックが巡教者のための旅行ツアーの必要性という使命感から事業の緒端をつかんだのと似ています。インマンは好調な事業の伸長によって、やがてキュナードの牙城であった郵便輸送契約を英国政府より拝命、新たに参入してきたホワイトスターラインとは激しい競争の末に協調路線の妥協点を得て、このままであれば後世まで残る船会社であり続けたかと思われましたが・・・敢えて評すれば、インマンラインの経営は社会奉仕精神によって支えられており、ウィリアム・インマンが1881年に亡くなると経営は瞬く間に悪化、1893年に事業はアメリカンラインに売却されました。インマンの方針は決してスピード至上主義ではありませんでしたが、船客重視の効率化を追求した結果、シティ・オブ・ブリュッセル、シティ・オブ・ベルリン、シティ・オブ・パリ、シティ・オブ・ニューヨークの4隻のブルーリボンライナーを輩出、汽帆船時代の有力船社の一角を占めました。
客船シティ・オブ・シカゴ(1883-1892)が描かれたインマンラインのポスターです。19世紀、汽帆船時代のポスターは、本作のような絵柄中心のポスターは殆ど制作されておらず、専ら文字情報を主体とするチラシ=フライヤー様のものが殆どでした。本作の制作年代は確かなことが伝わりませんが、シティ・オブ・シカゴが描かれていることから1885前後と推測できます。1888年にはシティ・オブ・ニューヨークが就役しており、当然最新鋭船が描かれた筈だからです。現存オリジナルは某博物館所蔵のたった一枚のみしか確認されていません。その現存する一枚は上下の文字部分がほぼ2/3ずつ程度失われています。僅かに残された部分を元に文字を完全復元しました
・ 雑感
余りスポットが当てられることはありませんが、本作は上記の通り歴史的、美術史的に重要な作品と言えます。その貴重さ故、世界中で多くのプライベートリプリントが販売されていますが、上下の文字の大部分が失われているため、中央の図柄だけ、あるいはインマンラインの社名だけを全く別に付け加えたものしか見ることが出来ません。膨大な作業時間を要したものの、鑑賞に堪えうる復元に挑戦しました。出来の程はご覧の通り、充分に満足の得られるものです (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Poster Ocean Liner INDEX
※ポスター画像をクリックしていただくと詳細ページへ移動します
納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】