● 1869年 北ドイツロイドラインのポスター 精密レプリカ額入りジクレーアート
≪Norddeutsche Lloyd, BREMEN - Havre - London - Sotheampton≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
作者名 :anonymous
製作年 :1869
額縁・マット : 木製カマボコ型=12mm、t=1.5mmx2枚ダブルマット、前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 410mm x 525mm
作品サイズ : 272mm x 407mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは282 x 417mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中のアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せはリトグラフやシルクスクリーンに比べ格段の保存性を持ち、数十年単位の鑑賞に耐えます。画像データに傷や劣化の補修、彩度などの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1869年 北ドイツロイドラインのポスター
交通史の観点からも興味深いポスターです。NDL・北ドイツロイドは1857年にブレーメンで創業された海運会社でした。(1970年にハンブルクアメリカラインと合併、現在はハパグロイド) やがてドイツ二大海運会社、そして世界有数の海運会社へと成長しますが、創業期は赤字で経営は苦労続きだったと言われます。1840年、英国でキュナードが蒸気船による米英間郵便輸送事業を始めた年にブレーメンでオーシャン・スチーム・ナビゲーション・カンパニーが設立されます。この船社の設立は、キュナード、すなわち英国が米欧間郵便輸送を独占することを憂慮した米独両政府の思惑が一致した結果でした。米国側はワシントン、ドイツ側は港湾整備されたブレマーハーフェンに加え、ブレマーハーフェン・ハノーバー間の鉄道敷設によって欧州大陸の郵便輸送ネットワークを整備、官民挙げた事業は順調に見えましたが、肝心の汽帆船の機関故障が相次いだため、米国の郵便輸送補助金が打ち切られ1857年に解散の止むなきに至ります。ブレーメンは古くからの商都で、インフラ整備が整ったにも関わらず米独間貿易ルートが停止に至れば経済に深刻な打撃を与えかねず、新たにNDLが設立されました。新旧両社に法律上の関係はありませんでしたが、結果的にはオーシャン・スチーム・ナビゲーション・カンパニーの経営資源を再利用したので、文献によってはNDLの源流をオーシャン・スチーム・ナビゲーション・カンパニーと断じるものもあります。NDLは航路運航の信頼を築くことに成功しますが1867年、、安定的発展の一策としてボルチモア・オハイオ鉄道と業務提携を結びます。先述のとおり、ドイツ側ではすでに、ウェザー川の水路に加えハノーバーとの鉄路との連携が確立されており、この鉄道との連携を機にNDLの業績は一気に好転し、1870年以降一気に13隻もの高速蒸気船を建造、世界の有力船社の一角へと成長することになります。
1858年就役の汽帆船ブレーメン、1961年就役の汽帆船ハンザのセーリングスケジュール入りフライヤーポスターです。両船ともに3000トン弱、絵に描かれているのは旗艦にしてNDL伝統の船名、ブレーメンの船名が冠せられた初代ブレーメンです。上記の通り、1870年以降は高速船を就役させるので、本作はその前、そして注目すべきはシンシナティの代理店の名称が入ることからボルチモア・オハイオ鉄道との業務提携以降、つまり1867年から1869年までの間に制作されたものと判ります。両船のスケジュールはきちんと一週間のインターバルになっており、ニューヨーク・ブレマーハーフェン航路の週航が実現されていたことも判ります。
本作のようなセーリングスケジュール入り壁張りは、後年の美術品的な価値を持つポスターとは違い、消耗品として埠頭やターミナル、駅や旅行代理手で使用されたもので、ポスターというよりはチラシ=フライヤーでした。(機能面で言えば「壁張り=ポスター」なので、フライヤポスターという表現が最適でしょう) 19世紀には、船会社はこのようなフライヤーポスターを使用するのが普通でした。欧州の移民客向けのものが多かったので、アメリカにおいてもこのようなものが使用されていたことは小さな発見です。下部のシンシナティは代理店として後から入れられたものと考えられ、文字にドイツ独特の亀甲文字が使用されていることから、ドイツで制作されてアメリカで代理店名を入れて使用したものと考えられます。上部のBREMENもアメリカから見た目的地であり、印刷の質から見ても後から入れられた可能性があり、そうなると、目的地、セーリングスケジュール、代理店名がそれぞれ入れ替え可能だった可能性があります。ただし、戦前の多くのフライヤーポスターが今日に伝わらないように、本作も当オリジナル以外のものは発見されておらず、これ以上の検証結果は得られません
・ 雑感
やがて世界有数の船会社となった北ドイツロイドの苦労を伴った初期の足跡が垣間見える・・・たった一枚のポスターは読み解けば興味深い事実を語ります。シンシナティは、河川を通じてワシントンに通じているとはいえ内陸部です。普通、海事を紐解けば沿岸の港町しか文言には上ってきません。広く社会の動きを俯瞰すれば、人荷あっての海路であり、鉄道と船の結びつきは、本作について調べるような機会を得なければおざなりになってしまうことだったように感じます (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Poster Ocean Liner INDEX
※ポスター画像をクリックしていただくと詳細ページへ移動します
納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】