● 1970年 ノル ハリー・ベルトイヤ ダイヤモンドチェアー・QE2雑誌広告レプリカ 額入りジクレーアート
≪Shipshape≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
作者名 :anonymous
製作年 :1970
額縁・マット : 木製カマボコ型=12mm、t=1.5mmx2枚ダブルマット、前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 410mm x 525mm
作品サイズ : 272mm x 407mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは282 x 417mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中のアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せはリトグラフやシルクスクリーンに比べ格段の保存性を持ち、数十年単位の鑑賞に耐えます。画像データに傷や劣化の補修、彩度などの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1970年 ノル ハリー・ベルトイヤ ダイヤモンドチェアー・QE2雑誌広告
1952年にハリー・ベルトイヤによってノル社のためにデザインされた名作、ダイヤモンドチェアーの雑誌広告です。写真にQE2・クイーンエリザベス2との関わりは一切表現されていませんが、下部キャッチコピーでダイヤモンドチェアーをして「Shipshape」と表現、古くは船から生まれたイギリス英語の表現で「整然と整っている」という意味ながら、その船の語源由来をQE2の現代的な「船の形」に引っ掛けているように思えます。コピー本文ではQE2のロンドンギャラリー(ボートデッキに設営、NYマルボーロ社の現代アートギャラリー、1972年の改装で閉鎖)、プロムナードデッキや船室ベッドルームにダイヤモンドチェアーが置かれており、乗船時には必ず見ることができると説明されています。ノルはハーマンミラーと並びモダンデザインをリードする家具業界のトップランナーであり、1970年当時に雑誌広告でとある納入事例をわざわざ紹介する必要は無かった筈です。また本作は単発広告で、例えばノルがこの時期にシリーズもので一風変わった納入事例を紹介したといった事実もなく、QE2にダイヤモンドチェアーが「乗っている」ことを紹介することがノルにとってどのようなバリューがあったものか興味深いところです。当のハリー・ベルトイヤはダイヤモンドチェアーについて「They are mainly made of air, like sculpture. Space passes right through them - それは彫刻のようにほんの少しの空気からできており、空間は光のように椅子を通り抜けてゆく」 と述べており、その主旨は「Shipshape」と同義とは解釈できませんが、1952年の発売当時にダイアモンドチェアーが「流線形」と評されたことを回顧し、ノルの広報方としては端正でスマートなQE2とダイアモンドチェアーに「整っている」という共通点を見出したのかもしれません。.
ノルは1938年創業のモダンデザイン家具の名門です。日本では「デザイナーズ家具」とやらのブームで真髄があやふやな昨今ですが、そもそもモダンデザインは意匠的特徴の概念ではなく、一品づくりの「芸術」の技術をもって良質な「工業生産品」を造るという生産手法を指します。その実現のために大衆が好む意匠を追求する過程で、キュビズムや構成主義、アールデコといった意匠表現が取り入れられますが、それらも全て工業生産のための必然がそうさせたに過ぎません。デザインの役割は芸術ではなく、大衆の生活向上とマニュファクチャラーの収益及びデザインプロセスを含む再生産を実現させるところにあり、モダンデザインこそは生産手法、経営手法の重要な一部分を担うものでした。(従って、ここに疑問を突き付けて意匠と芸術性、感性を純粋に追求した活動がポストモダンとなるわけです) 論理的には大衆が好むものであれば誰が意匠を担ってもいいわけですが、ノルやハーマンミラーのアプローチは修練を積んだ建築家やプロダクトデザイナーとの協業でした。彼らにロイヤリティーを支払い、家具製造会社としての審美眼をもって意匠と生産技術を合致させて製品化するプロデュース能力を発揮しました。例えばそのようなプロセスからバルセロナチェアーのようなリプロダクトの名作が生まれたということになります。ノルの創業者であるハンス・ノルはドイツに生まれ、父親は家具製造会社を経営していたといわれます。バウハウスに関わったデザイナーたちがナチスドイツから逃れたのを追うように英国に渡り、1936年には米国に移民します。同年、ノル社を創業し建築家やデザイナーとの協業を図る中でフローレンス・シャフトと出会い、二人はやがて結婚しますが、フローレンスの伝手でミース・フェン・デル・ローエやエーロ・サーリネンなどクランブルックに関わる建築家との協業が始まることになります。こうして始まるモダンデザインのプロデュース手法はハーマンミラーやカッシーナなどのセカンドランナーたちに模倣されて発展、ハンスとフローレンスのノル夫妻が果たした文化的役割はひとつノル社の成功に留まることのない大きなものでした
・ 雑感
QE2就役当時、キュナードの台所は火の車、すでに航空機が主役という世上にありながら、意外にもデザインオリエンテッドという意味では最右翼の会社であるノルがQE2の話題を取り上げていることは興味深い事実です。今日から想像する以上に、QE2の就役は大きなトピックだったのだと再認識させられます。そこには論理的に説明のつかない期待や郷愁のようなあったのかもしれませんし、そういったQE2に寄せる大衆の複雑な感情が、やがて来るクルーズ客船時代を育んでいったと理解できます。QE2の存在は結果的に唯一無二のものだったということです (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Poster Ocean Liner INDEX
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納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】