● 1946年 客船クイーンエリザベス・大西洋航路就役雑誌広告レプリカ 額入りジクレーアート
≪THE QUEEN ELIZABETH Inaugurates Regular DeLuxe Tranatlantic Service, CUNARD WHITE STAR≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
作者名 :anonymous
製作年 :1946
額縁・マット : 木製カマボコ型=12mm、t=1.5mmx2枚ダブルマット、前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 410mm x 525mm
作品サイズ : 272mm x 407mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは282 x 417mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中のアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せはリトグラフやシルクスクリーンに比べ格段の保存性を持ち、数十年単位の鑑賞に耐えます。画像データに傷や劣化の補修、彩度などの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1946年 客船クイーンエリザベス・大西洋航路就役雑誌広告
1939年9月4日、クイーンエリザベスは内装工事を残して完成しました。順調に事が運べば残工事を行いながら大潮を待ってサウザンプトンに回航されてドック入り、ここで船底の整備を終えて公試運転に望み、キュナードの創業100周年の1940年には晴れの処女航海を迎えてクイーンメリーと2隻で大西洋航路週航の任に就く筈でした。しかし実際は、1939年9月1日にドイツ軍がポーランドに侵攻すると3日には英仏がドイツに宣戦布告、その翌日に竣工を迎えるものの白いハウスにキュナードレッドのファンネルも鮮やかな船体は、1週間後には海軍工廠の作業員によってミディアムグレーに塗り替えられてしまいます。すでにクイーンメリーも運航を停止してニューヨークに係留、米海軍が提供したヘイズグレーに塗り替えられていました。機関が完成してボイラーに火が入ったのは12月、1940年の2月にはクライド河を離れてサウザンプトンに向かうところ出航時に国王から密書、命令に従ってアイリッシュ海に出てから開封するとそこには「行き先、ニューヨーク」の命令。ドイツ軍機のクイーンエリザベスを狙った爆撃の情報をキャッチした政府による窮余の策、実際にドイツ軍機はサウザンプトンを攻撃するもそこにはクイーンエリザベスは居ませんでした。ドイツの「作戦」は的を得たもので、後にはヒトラー直々にクイーンズどちらか一隻を沈めたUボート艦長には勲章と賞金を約束、それもそのはず、戦時中にクイーンズは160万名に及ぶ軍人軍属を輸送して大戦の勝敗を左右するほどの活躍をしました。1945年5月のドイツ降伏で欧州の第二次世界大戦は終結、占領と進駐のために米軍兵士の輸送は続き、クイーンエリザベスが英本土への米軍兵士輸送任務を終えたのは8月6日のことでした。8月20日にサウザンプトンのジョージ5世ドック入りで武装解除、今度は戦中とは逆の帰還兵輸送を行います。1946年3月、再びジョージ5世ドックで戦時用設備を取り外し、3月31日キュナードラインに返還されました。
クイーンエリザベスが生まれ故郷のジョンブラウン造船所とサウザンプトンのドライドックを往復して、客船への復元を終えたのは1946年9月、10月5日からは試験運転を開始し、10月7日にはエリザベス女王と王女(後のエリザベス2世)を乗せて公試運転を行います。この時に記録された最高速度が29.75ノット、戦時の酷使が祟って1939年の竣工時であれば出たであろう32ノットの速度には到底及びませんでした。後にクイーンメリーが返還されると、やはり最高速度は30ノットに届かず、15000名もの兵士を乗せてUボートが追い付けない30ノットの高速でジグザグ航行することが、どれほどの負担だったのかが想像されます。1946年10月16日、クイーンエリザベスはついに商業航海へ就きサウザンプトンを出航、晴れの処女航海となりました。ニューヨーク到着は10月21日、乗客は満員で、中には1940年の幻の処女航海を予約、6年待って乗船した乗客もいたそうです。
キュナードが打ったクイーンエリザベスの就役を知らせる雑誌広告です。大戦終結から一年余り、まだ戦禍は癒えていなかったものと想像され、1936年にクイーンメリー就役のために打たれた見開きの広告に比べれば相当に簡素です。広告本文では大戦中の輸送が厳しい任務だったと一言のみ、全文で世界最大の客船としてデビューを迎えたことを飾らず短めに記しています。文中「dependability」のみが斜文字になっていることに、わずかにキュナードの強いプライドが感じられます
・ 雑感
世界最大の客船の就役にしては、いささか簡素過ぎる広告です。それは戦禍が癒えていない世相への配慮だったのかもしれませんし、十分な準備が整わなかったためかもしれません。あるいは、兵員輸送船からの復帰という立場に対する微妙な杞憂があったかもしれません。この簡素過ぎる広告の理由は謎のままですが、これが歴史の現実であり、貴重な一次史料足りうる一枚の雑誌広告です (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Poster Ocean Liner INDEX
※ポスター画像をクリックしていただくと詳細ページへ移動します
納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】