● 1932年 フレンチライン雑誌広告レプリカ 額入りジクレーアート
≪Pier 57, North River≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
作者名 :anonymous
製作年 :1932
額縁・マット : 木製カマボコ型=12mm、t=1.5mmx2枚ダブルマット、前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 410mm x 525mm
作品サイズ : 272mm x 407mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは282 x 417mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中のアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せはリトグラフやシルクスクリーンに比べ格段の保存性を持ち、数十年単位の鑑賞に耐えます。画像データに傷や劣化の補修、彩度などの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1932年 フレンチライン雑誌広告
「キャングウェイを渡ればそこはパリ」は、1935年のフレンチラインの広告に使われた客船史上に有名なコピーでしたが、それを遡ること3年、本作広告の「ノースリバーの57番埠頭」も心を掴む得がたいキャッチコピーです。1920年代後半、今日まで名を継ぐハイファション誌や総合誌が次々に発刊され、雑誌広告がメディア広告第一線に躍り出たのは1926年から1927年のこと、企業にとってみれば千載一遇の機会で、これをものにしようと様々な試行錯誤を試みます。フレンチラインは本能的に「見出し」と「キャッチコピー」の違いを理解して効果的に大衆の心に訴える術を心得ており、少なくとも船会社の広告という括りで見るならば、フレンチラインのそれはお手本たり得る完成度を持っていました。
1935年の広告では、本文で「パークアベニューでタクシーを拾って15分、88番埠頭からギャングウェイを渡るとそこはパリです」といった内容の心憎い誘い文句が記されましたが、そのネタ元となったのが本作だったことがわかります。(ちなみに埠頭の番号が変わっているのは、フレンチラインはチェルシーピア時代は57番埠頭、1935年に供用開始された1000フィートのマンハッタンターミナル埠頭では88番埠頭を使用したためです) 訴求力の強さでは1935年の広告だったかもしれませんが、物語の面白さでは本作に軍配を上げたいところです。イラストはタクシーに乗る紳士夫妻、タクシーに乗って「ノースリバーの57番埠頭」と告げれば、心はもうシャンゼリゼと書いています。続けて・・・船に乗れば汽笛の音、タグボートが引くロープがピンと張り詰めると、見送りの歓声・・・もうすでにそこはフランス。欧州への夢の旅は57番埠頭から始まる・・・フレンチラインの船内で送る時間は芸術です・・・とまで言っています。(フレンチラインは芸術・・・これは、フレンチラインの中興の祖、1928年に在任のまま急逝した故ジョン・ピアーズ会長が言っていた言葉です。ピアズはその言葉のまま、浮かぶアールデコといわれた客船イル・ド・フランスを就役させ、浮かぶ宮殿と称されることになる客船ノルマンディー計画を作り上げました) 最後は再び、タクシーの運転手に「57番埠頭!」と告げれば、そんな素晴らしい時が叶う、と結んでします。
フレンチラインが他の大西洋航路の船社といささか趣を違えていたのは、その船室構成にもありました。この広告が打たれた当時の旗艦は客船イル・ド・フランスでしたが、定員は一等が670名、キャビンクラス(二等)が408名、ツーリストクラス(三等)は508名でした。一等を客寄せのショーウィンドーにしてスティアリッジや三等の移民でガッツリ稼ぐといった旧いやりかたはフレンチラインの流儀ではありませんでした。今日のクルーズ時代を予見したわけではないでしょうが、フレンチラインはピアーズ会長の下、乗船はそれ自体が旅行であるという方針に舵を切っており、「オール一等モノクラス」に先んじて向かっていた(二等をキャビン、三等をツーリストとしたのもその表れ)といえます。広告にある種の迷いが見られないのは、そういった割り切りの良さから来たものと感じられます
・ 雑感
現代人の感覚でサラッと読んでもぐいぐい引き込まれる本文コピーです。コピーはこのようにありたいものと感服するばかりですが、重ねてフレンチラインの素晴らしかったところは、過去と現在のコピーに一貫性があるところで、単に米国の広告代理店任せにするのではなく、余程しっかりとした広報スタッフが社内にいたものと推察されます。船会社に限らず、企業は利益向上のためには節操のないところがあり、時に平気で過去の自社製品やサービスと現在が一致しないこともままありますが、フレンチラインはその辺りが首尾一貫しており、1920年代から半世紀の間のすべての広告が、まるで連作にでもなっているような錯覚を覚えます。以て他山の石としたいものです (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Poster Ocean Liner INDEX
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納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】