● 1968年 客船クイーンエリザベス2就役予告・見開き雑誌広告レプリカ 額入りジクレーアート
≪THE FIRST BRITISH SPACESHIP.≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
作者名 :anonymous
製作年 :1968
額縁・マット : 木製カマボコ型=12mm、t=1.5mmx2枚ダブルマット、前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 525mm x 410mm
作品サイズ : 407mm x 272mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは417 x 282mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中のアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せはリトグラフやシルクスクリーンに比べ格段の保存性を持ち、数十年単位の鑑賞に耐えます。画像データに傷や劣化の補修、彩度などの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1968年 客船クイーンエリザベス2就役予告・見開き雑誌広告
1969年1月17日サウザンプトン出帆、ラスパルマス・バルバトス・キングストン経由ニューヨーク行き、QE2・クイーンエリザベス2の処女航海見開き雑誌広告です。本広告が1968年11月に雑誌々面を大々的に飾りましたが・・・事実は小説より奇なり・・・あろうことか、この広告で予告の処女航海は中止され満席の乗船予約はキャンセル、「Ship of Shame=恥ずかしい船」とまで酷評を受けてキュナードとジョンブラウン造船所は面目を失する結果になります。本作はキュナードの新船に賭ける意気込みこそ率直に感じられるものの、幻の処女航海の広告となりました。
処女航海キャンセルも含め、QE2の誕生は難産でした。ほぼ1世紀に渡り北米移民を運び続けた北大西洋航路の凋落は急で、1958年にボーイング707の登場によって大西洋横断の客船・航空機乗客数が逆転すると、キュナードの金看板たる「クイーンズ」の収支はあっけなく赤字転落、重ねて船齢30年を迎えることになるクイーンズの船腹更新という課題を背負うことになります。三隻目のクイーンとして「Q3」計画が練られ政府への建造補助金申請まで漕ぎつけるものの、株主総会はQ3建造を不承認、定員同規模でクイーンズをやや小振りにしたのみの新船建造には「もう乗客が戻ることはない」という現実直視の一部役員と株主がNOを突きつけた形になりました。この結果から新たに「Q4」計画が練られ、大西洋航路の稼働期間を8ケ月に短縮、残りをクルーズ航海に充てる新たな運用方針に基づき、船体はパナマックスの32m幅、乗客定員は約1900名に抑えられ、Q4は1968年5月引き渡しの工程で1964年12月に起工されます。
当初はQ4就役を待ってクイーンメリーを退役させるスケジュールにて、クイーンエリザベスにはQ4当面のランニングメイトとなるべくクルーズ向け改装が施されたものの収益悪化は予想を上回り、厳しい資金繰りがQ4就役に与える影響を避けるために予定を変更、1967年にはクイーンメリーを退役させクイーンエリザベス一隻でQ4の就役を待って退役交代するものと変更されます。この計画通りであれば、1968年のシーズンオフと同時にクイーンエリザベスが命名なったQE2に旗艦のバトンを渡す体裁でしたが、肝心のQE2は1968年11月末の公試運転でタービンを破損、キュナードは新船の受領を拒否します。すでに本広告にも見られる大々的な就役予告はリリース済みで予約も満席、造船所は必死の突貫作業で修理を終えたものの・・・明けて1968年1月の引き渡し試運転で再度の機関トラブルが発生、キュナードはまたも受領拒否せざるを得ず、とうとう処女航海がキャンセルされるという前代未聞の事態を引き起こすことになります。すでに1967年の11月4日をもってクイーンエリザベスが退役、「交代」という体裁は泡と消え、半年間に渡って大西洋航路に「クイーン」が存在しないという残念な状況に至ります。QE2が就役を果たすのは1969年5月のことでした。
とまれ・・・広告はいかにも1960年代を反映するものです。正確にはスプートニックショックの1957年が宇宙時代の始まりとされますが、米ソ間ロケット開発競争が興味の的となり、アポロ11号によって人類が初めて月に降りたのは1969年7月のこと、英国は宇宙開発ではカヤの外でしたが「FIRST BRITISHI SPACESHIP」とは何とも壮大で大時代的なコピーでした。クイーンズが退役していたため、QE2は総トン数で客船フランスを抜いて世界最大の客船(以後、1980年まで21年間)として就役することとなります。SPACESHIPと記すほどに近未来的であったかどうかは現代の目線で公平に評して微妙(本作の広告本文には「宇宙時代のポータブルロンドン」と銘打ってディスコやライブ、各室への船内音楽配信をアピールしていますが、SPACESHIPのコピーからはやや的外れな感を否めません。むしろここに記されなかった各室のユニットインテリアの方がメタボリズム的近未来指向を持っていたのではないでしょうか・・・)ですが、後に見慣れた我々の目線とは違い、伝統的な「煙突」の姿を捨てたファンネルを持つQE2の外観意匠は斬新で、当時の大衆の目線には相当に前衛的、近未来的に映ったことは容易に想像されます。本作では、フレアー型船首と問題のファンネル、全体のストリームラインがかなり大胆に強調されて、コピーライトの如く「SPACESHIP」的な意匠に演出されています。もし処女航海が無事であったなら、名作に連なるに足る雑誌広告だったものと思われますが、結果的には「いわくつきの名作」となりました
・ 雑感
恐らく、本作は固唾を呑んでキュナードの新船の登場を待つ大衆にとって驚きだったことでしょう。キュナードは良くも悪くも保守的な会社で、少なくとも様々なプレゼンテーションにおいてはアールデコやらモダンデザインとは距離のある印象を持たれていたからです。フランスのフレンチラインがアールデコのど真ん中を歩んだのとは対照的でした。まるで自動車のデザインスケッチを思わせるようなストリームラインを強調した本作グラフィックは、従前のキュナードのどこにも無かったものです。一言で言えば、この広告が広く出回った時点では、少なくとも誰もがキュナードの「ヤル気」を存分に感じたことでしょう (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Poster Ocean Liner INDEX
※ポスター画像をクリックしていただくと詳細ページへ移動します
納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】