● 1934年 マリー・ローランサン フレンチライン雑誌広告レプリカ 額入りジクレーアート
≪Paris bound≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
作者名 :Marie Laurencin
製作年 :1934
額縁・マット : 木製カマボコ型=12mm、t=1.5mmx2枚ダブルマット、前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 410mm x 525mm
作品サイズ : 272mm x 407mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは282 x 417mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中のアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せはリトグラフやシルクスクリーンに比べ格段の保存性を持ち、数十年単位の鑑賞に耐えます。画像データに傷や劣化の補修、彩度などの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1934年 マリー・ローランサン フレンチライン雑誌広告
文化の中心たるフランスの面目躍如、イラストとコピーライトにふんだんに女性的やさしさ(フェミニン)、女性へのやさしさを表現した広告です。
この広告のイラストを描いたマリー・ローランサンは、フランス本国と競う程に日本で人気の画家なので、詳しい出自やバイオフラフィーは、ここでは割愛します。概略にだけ触れれば、モンマルトルでピカソと親交を結びキュビズムに傾倒、エコール・ド・パリ前衛芸術の重要人物に名を連ねますが、詩人のアポリネールと恋に落ち、その後ドイツ人のオットー・フォン・ワエチェン男爵と結婚、第一次大戦時にはスペインで亡命生活を送りますが1920年に離婚してパリに戻ります。どのような経緯があったものかは美術史の専門家による論述に譲りますが、パリに戻ったローランサンの作風は一変、パステル調の水彩で優しい夢見るような女性を描く画風に専念するようになり、瞬く間にパリの売れっ子画家になりました。あのココ・シャネルが肖像画を注文したことは良く知られます。(シャネルはローランサンが描いた肖像画が気に入らず購入を拒否、描き直しを求めますがローランサンはこれを断り、元の絵を手許に置きました。現在はパリのオランジェリー美術館が所有しています)
本作広告のイラストはローランサンがフレンチラインの広告に為に描いた水彩画です。絵の下のキャプションには「Painted for the French Line by Marie Laurencin」と記さるのみで題名はつけられておらず、原画の所在も不明です。ローランサンのサインの横には「33」と年号が描かれており、広告のリリースは1934年ですが、ローランサンがこの絵を描いたのが1933年であることがわかります。
キャッチコピーは「TO A LADY OF QUALITY Paris bound」、直訳すれば「貴婦人たちへ・・・パリは弾んでいる」ですが「女性の皆さん、パリがあなたを待っています」ほどの意味でしょう。どう解釈しても、どちらかと言えば、先にマリー・ローランサンに絵を注文して、この絵に合わせて広告の内容が練られたという風に見えます。本文書き出しは、幾分大仰に本家フェミニズムへの意識が感じられます。新しい時代は女性のために創造され、フランスはフェミニズム精神に溢れるといった内容で始まりますが、その後ろのコピーは至って現実的です。船内では朝はゆっくり起きて、少し散歩、少し読書のリラックスした時間を過ごすことが出来る。リトルパリの船内ショップで買い物(新しい香水も手に入ります・・・とカッコ書き)をして、船内の美容院ではお肌のケアをたっぷりしてもらえる。美味な食事を楽しんで・・・子供たちのケアも整っている・・・フェミニズムを思わせる書き出しはどこへやら、ひたすら船内の女性の過ごしやすさに終始します。しかし、一方で多くの国では貴賤を問わず男性中心の社会、元々フランスは女性に優しいお国柄なので、改めて「フェミニン」を記すことは却って難しく、フレンチラインの女性に優しい通常の船内ライフを記すのみとなったものでしょう。政治的、社会的、男女同権を持ち出すには雑誌広告は場違いなので、ローランサンの絵のやさしさと良く釣り合いのとれた内容は正解に見えます。しかし何より、本作は本来、マリー・ローランサンの絵のみで完結しています
・ 雑感
こうして、いささか唐突にマリー・ローランサンの絵を使ってしまうところが、美の国たるフランスの他国船社には真似のできないフレンチラインのアドバンテージです。出来ることなら、柳の下のどじょうよろしく、当代画家の作品絵巻のような広告を見てみたかったと思いますが、そのようにはせずに本作単発で終えているのが奥深いところ、引き出しの多さではフレンチラインに叶う船社はなかったでしょう (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Poster Ocean Liner INDEX
※ポスター画像をクリックしていただくと詳細ページへ移動します
納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】