● 1963年 キュナード・クイーンズ雑誌広告レプリカ 額入りジクレーアート
≪First Class Cunard is First Class Plus!, CUNARD QUEENS FORST CLASS≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
作者名 :anonymous
製作年 :1963
額縁・マット : 木製カマボコ型=12mm、t=1.5mmx2枚ダブルマット、前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 410mm x 525mm
作品サイズ : 272mm x 407mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは282 x 417mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中のアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せはリトグラフやシルクスクリーンに比べ格段の保存性を持ち、数十年単位の鑑賞に耐えます。画像データに傷や劣化の補修、彩度などの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1963年 キュナード・クイーンズ雑誌広告
技術の進歩は、時として人の暮らしを全く違えてしまいます。例えば、自動車が普及して馬車が日常の乗り物でなくなってしまったように、また携帯電話の普及で公衆電話を使う機会が殆どなくなってしまったように・・・現に19世紀に蒸気船が実用的になると、帆船は旅行には使われなくなりました。歴史は繰り返すもの、かつて帆船を駆逐した汽船が、今や航空機に主役の座を譲らざるを得ないのは必然でした。T型フォードの登場が馬車と自動車のターニングポイントになったとすれば、大洋横断航路ではボーイング707が同じ役割を果たしました。乗客189名を乗せて速度1000km/h、大西洋横断空路を現在と大差ない10時間前後で飛ぶ707は従来のプロペラ機のはぼ倍の能力を持ち、707が就役した1958年には大西洋横断における船と飛行機の乗客数が逆転します。結果的に多くの船会社にもキュナードにも何ら打つ手はありませんでしたが、1950年代以降、キュナードは知恵を絞って客船にあって旅客機にないものにスポットを当てた広告を打つことになります。客船と旅客機の違いは大きさと一人当たりのスペースです。大西洋横断で考えれば、一週間を船内で過ごすためにホテルの機能が必要になるとともに、物理的にはハルスピードという宿命によって大きくなるほど速度が増すという特徴も持ちます。対する旅客機は宿泊がないので座席のみで足り、物理的にも採算と安全性が確保される限り小さく軽いほど速度も増します。従ってキュナードは、この飛行機が持たないホテル的機能をアピールすることに躍起になりました。
1930年代のキュナードの広告は「人と船」といった一貫したテーマでキュナードの人材にフォーカスした啓蒙的「読み応えのある」発信をしていました。対して戦後、航空機の伸長が著しくなると専ら船旅の良さをアピールする宣伝内容に終始することになりますが、始まりは1953年頃の「gettinng there is the half of the fun!」のキャッチコピーでした。最初はかなりソフトな物言いで普遍的な船旅の良さを述べるに止まりましたが、1960年代には暗に旅客機の旅の窮屈さ(狭い座席と手荷物の制限は格好の攻撃材料でした)を引き合いに出すようになってきました。この辺りになると完全な空振りで、もはやビジネス客が好んで一週間を要する移動を選ぶ筈もなく、結果論ではあるものの却って戦前のような伝統やそれを守る人と船といったアピールの方が旅行客への訴求が有用だったのではないかと思えます。とまれ、1963年の本広告は英国内向けに船上ライフの充実を訴える見出し様のグラフィックが目を惹く秀作です。「キュナードのファーストクラスはファーストクラス以上」というのも率直ながら誇張を感じさせることなく好感が持てます。右下のロゴマークは1963年前後の短期間に使用されたものでしたが、ファーストクラスの優越感を程よくくすぐる品の良さが見られます。広告の出来としては旅心を上手く掴むことに成功しているように見えます
・ 雑感
北大西洋航路客船の市場は、1924年の米国移民法改正によって、特に1930年代以降は完全に北米から欧州への旅行が主戦場になりました。雑誌広告の物量も北米向けのものが大半で、欧州国内向けのものは僅少です。戦後キュナードの広告も殆どが北米向けに北米発行の雑誌に打たれましたが、少ないながらも英国内向けに打たれたがありました。これが・・・どれも出来が良いのには驚かされます。意識的か広告代理店の技術とセンスによるものかは判断つきませんが、1950~60年代の北米雑誌掲載のキュナード広告は、今日目線(あるいは日本人目線と米国人目線ではデザインの好みも違うでしょう)で素晴らしいものが幾分はあるものの、全体としては垢抜けないものが多く、残念ながら食指をそそられるものが多くはありません。英国内向けのものの方が普段着のキュナードだったのだと見えますが(英国内向けと米国向けの広告に何故同じものを使用しなかったのか不思議です。少なくとも英国内向けの広告は料金をドルに置き換えれば十分に北米で訴求力のあるものに思えます)、そちらの方により好感を持たされます (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Poster Ocean Liner INDEX
※ポスター画像をクリックしていただくと詳細ページへ移動します
納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】