● 1935年 エイヤー&サン・客船ノルマンディー処女航海 雑誌広告レプリカ 額入りジクレーアート
≪MAIDEN VOYAGE, N. W. Ayer&Son≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
作者名 :Alexey Brodovitch
製作年 :1935
額縁・マット : 木製カマボコ型=12mm、t=1.5mmx2枚ダブルマット、前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 410mm x 525mm
作品サイズ : 272mm x 407mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは282 x 417mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中のアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せはリトグラフやシルクスクリーンに比べ格段の保存性を持ち、数十年単位の鑑賞に耐えます。画像データに傷や劣化の補修、彩度などの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1935年 エイヤー&サン・客船ノルマンディー処女航海 雑誌広告
アレクセイ・ブロードビッチによって描かれたイラストをフューチャーした客船ノルマンディーの処女航海を伝える本広告を打ったのは、フィラデルフィアの広告代理店、エイヤーズ&サンでした。エイヤーズ&サンは1869年の創業、米国で最も古い広告代理店だったと言われます。AT&Tやキャメルタバコ、米陸軍の広告などで発展しましたが、何と言っても有名なのは1949年のデビアスのダイアモンド「A Diamond is Forever」の広告コピーです。それまで大衆には縁遠いものだったダイヤモンドでしたが、この広告が大衆の心に一気に火をつけ、少し頑張ってダイヤを手に入れようという一大ムーブメントを巻き起こし、ダイヤモンドは一般的な宝飾品になりました。日本では1970年頃に「ダイヤモンドは永遠の輝き」という翻訳コピーで広告とテレビCM連動のキャンペーンが張られて大成功、やがて日本は世界第二位のダイヤモンド販売国になりました。エンゲージリングとダイヤモンドを見事に結び付けて、世界中で70年間に渡って使われて莫大な市場を創出したこのコピーは「20世紀で最も偉大なスローガン」と評価されます。広告代理店の世界規模での再編の中、1996年にはレオバーネットと電通を中核とするパブリシス傘下に入り、2002年には残念ながら伝統のエイヤーの社名は消滅しました。
広告全体にグラフィック面での仕掛けはありませんが、上部のイラストを描いたのはアレクセイ・ブロードビッチです。1920-30年代、「ATELIER A.B.」または「A.B.」のクレジットが入った客船にまつわるポスターや雑誌広告は永年作者が謎でしたが、近年の史料掘り下げでAlexey Brodovitch=アレクセイ・ブロードヴィッチの手になるものであることが判りました。ブロードヴィッチは1930年代からハーパーズバザーのアートディレクターとして活躍してバザー誌の経営を立て直したばかりでなく、今日まで続くハイファッション誌の基礎を作ったアートディレクター兼デザイナーです。1898年ロシアに生まれ、第一次大戦によって美術学校進学を果たせずフランスに亡命、パリ在住のアーティストとの交流を通じてバウハウス、デ・ステイル、キュビズム、シュルレアリズムといった潮流を吸収、独学でデザインを学びます。1924年、パリのポスターコンクールで優勝、作品の「BalBanal」は二等だったピカソの作品とともにモンパルナスの壁に飾られ一流デザイナーの仲間入りをします。1928年、L'Atelier A.B.を設立、客船アキタニアを描いたキュナードのポスターは今も一般にはクレジット「A.B. 作者来歴不明」のままながら、アールデコ期の典型的客船ポスターとして良く知られます。(Tシャツなどにプリントされる人気の高い図柄です) 1930年渡米、フィラデルフィアのUniversity of the Artsで教鞭をとり、1934年から1958年まではバザー誌アートディレクターとして活躍しました。バザー誌の紙面をコクトーやマン・レイ、カッサンドル等が飾ったのは、実はブロードヴィッチの人脈によるところでした。
下部の本文はいささか不思議な内容で、米国におけるノルマンディーの就役にまつわるキャンペーンにエイヤー社が関わったことが判りますが、後半部はケロッグやフォードとの仕事の成功や1920年代末からの実績が紹介されており、何を訴えたかったものか判然としません。恐らくは話題の客船ノルマンディーの就役の「お祝い」の意味合いを込めたアンサー広告のようなものだったと考えるのが妥当なようです。ファッション誌方面の重鎮であるブロードビッチをイラストに起用したことから、ヴォーグやバザーといったハイファンション誌に掲載されたものと考えられますが、何と言ってもモノクロながら見事な出来のブロードビッチのイラストは見物です
・ 雑感
本職である広告代理店の広告ならば、さも素晴らしいものが・・・と思いきや、いささか拍子抜けの内容である点が、却って興味深くもあります。ブロードビッチのイラストは、ひょっとすると客船ノルマンディーの就役に纏わる広告プランニングのエスキスとして描かれたものなのかもしれません。謎の広告ではあるものの、ブロードビッチのイラストは、仮にそうであったとしたならばお蔵入りさせてしまうのは全くもって残念なところ、こうして後世に伝わったのは何よりと思えてなりません (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Poster Ocean Liner INDEX
※ポスター画像をクリックしていただくと詳細ページへ移動します
納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】