24. 氷川丸固定説
昨日は久しぶりに日本郵船歴史博物館と氷川丸を見てきた。日本郵船の戦前の現存史料はかつての企業活動規模からすればおおよそ少ないものである。何かを知ろうとしても、最初に当時存在した史料の全体像が判っているわけではないからなかなか一筋縄ではゆかぬもので、そういった大きさの判らない欠けたモザイクを埋めるにもこうした活きた博物館といった存在は嬉しい。乗るたびに小さな発見はあるものだが、氷川丸は揺れているか否かで意見が割れた。
僕は、古い俗説で氷川丸は船底にバラストを積み(コンクリ?)海底と柱でつながっていると思ってはいたものの、階段を上って船に乗るとやっぱり揺れている気がするし、女房と長女に聞いてもやっぱり揺れていると答える。ところが次女は身長が低いせいか最後まで「揺れていない」という。結局、頭の中は???のまま帰ってきたが、戦車研究室というウェブサイトを主宰される方が2011年5月19日、直接氷川丸に問い合わせたところ海底には固定されていないという正式回答を得たとのことである。さらに、関西造船協会会報「らん」に三菱重工の竹田大樹氏が寄せた一文によればドルフィン2本、陸上係船杭3本、アンカー5個で「係留」、暴風の際は海水バラストで着底できるように浚渫されていると記されている。従って氷川丸は揺れている。1930年就航の客船・・・もう船齢82年である。冷静に考えればこれは国家的遺産ではなかろうか? 一民間企業の日本郵船に保存をお任せするには荷が重いだろうし、国を挙げて保存に取り組むべきと思う。(2012,3,30初稿、2015年加筆)