客船ポスター四方海話 CONTENT
商品ページの解説に書けないこぼれ話や失敗談・笑い話を交えた客船ポスター四方海話。一枚の客船ポスターの裏側に読み取れる様々な物語、作者やテーマ、時代背景・・・これもポスターを見て眺める楽しさのうちである。もし、商品ページの解説が展示パネルとするならば、このポスター四方海話はギャラリートーク、幾らか違って伝わる史実なども適宜正しながら思い入れたっぷりに綴らせていただいている・・・ 小野寺俊英


巻拾壱 客船ブレーメン
1929年、北ドイツロイドラインが北大西洋航路に就航させた客船ブレーメンが客船黄金時代の幕を切って落とした。インテリアデザインをバウハウスが担当したことは有名だが、その外観意匠にも一役買ったと見る向きも多い。そして何より、このポスターはバウハスのデザインに思われてならない


巻拾 ダラーライン
APL・アメリカンプレジデントラインズの前身、ダラーラインは米国の北太平洋航路を独占し西回り世界一周航路で七つの海を席巻した船会社だった。かつての隆盛を物語る史料は少ないが、一枚のポスターを手掛かりに世界一周航路の物語を改めて振り返ってみた


巻九 APL・アメリカンプレジデントラインズ
APL・アメリカンプレジデントラインズが1950年頃に製作したポスター。プレジデント客船に太平洋航路図、APLの太平洋航路をペリー来航まで遡り、最後の太平洋航路客船就航を改めて考察、西回り航路の意義が再び鮮やかに浮かび上がってくる


巻八 日本郵船 ゲオルギー・ヘミング
日本郵船が1932に製作したポスターは世界的な水準で見ても名作に名を連ねることが出来る秀作である。作者のゲオルギー・ヘミングはあのピアニスト、フジ子・ヘミングの父、なぞ多き作者と、日本郵船の客船黄金時代を考証する


巻七 キュナードホワイトスター
第二次世界大戦のために幻となったキュナードホワイトスターのポスター。客船クイーンメリーとクイーンエリザベスの夢と波乱に満ちた誕生から幻のポスターの事情まで、初代クイーン姉妹船を巡るキュナードラインのミニストーリー


巻伍 クイーンエリザベス2
豪華客船という意味不明な造語を生み出したのは他でもなくクイーンエリザベス2だった。クイーンエリザベス2の誕生とこの客船の本質を再度考察し、“クイーンエリザベス2のポスター”として正統性を持つと考えられる作品を独自目線で取り上げてみた


巻四 タイタニック
世に“タイタニックのポスター”は数あれど、1912年に使用されていた実物はたった2種類だけである。この機に、スノビッシュな俗説を離れてタイタニックの真実を見つめ直し、真贋を問うまでもないわずか2種類のポスターと、ポスター様に使用されたチラシの全てをサマリーしてみる


巻参 ATELIER A.B. = アレクセイ・ブロードヴィッチ
傑出したデザインでありながら、作者不詳故に時間の波間に埋もれてしまっているポスターがある。このキュナードラインのポスター、作者のサインの謎の向こうに現代ファッション誌のアートワークを確立した立役者の顔が見える。若き日にアートコンペティションでピカソと賞を分けあったアレクセイ・ブロードヴィッチである


巻弐 キュナードライン CUNARD BOSTON TO EUROPE
どういう事情からか、今日リプリントが多種大量に製作されるポスターの中には、オリジナルと違う色や縦横比が正しいものとして伝わってしまっているものがある。その代表的なポスターのひとつがこのキュナードラインのポスターである。製作年代やバリエーション、問題の縦横比を現在知り得る限り掘り下げて調べてみる


巻壱 カッサンドル L'ATLANTIQUE
1931年、アールデコの巨匠アドルフ・ムーロン・カッサンドルによって描かれた名作客船ポスター。アールデコ全盛期、このような客船の図案は決してカッサンドルの専売特許ではなかったものの、最も効果的なデフォルメとして今日に伝わる。しかし、描かれた客船については異説だらけ、今一度、このポスターの出自を問う